okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

ミュリエル・スパーク『死を忘れるな』読書会の覚え書き

ミュリエル・スパーク『死を忘れるな』の読書会に参加したのでその覚え書きを。読書会で話された事よりは、読書会に出て私自身があれこれ考えたこと中心につらつらと書きます。※①若干のネタバレを含みます ※②個々の発言部分は記憶に頼って書いています。その点は十分留意してお読みください。

読んでいて非常に楽しく、なおかつ色々な事を考えさせられる作品です。

死を忘れるな (白水Uブックス)

死を忘れるな (白水Uブックス)

 

「死ぬ運命を忘れるな」と電話の声は言った。デイム・レティ(79歳)を悩ます正体不明の怪電話は、やがて彼女の知人たちにも広がっていく。ある者は疑心暗鬼にかられて犯人探しに躍起となり、ある者は悠然と受け流し、ある者は彼らの反応を記録して老年研究の材料とした。謎の電話が老人たちの生活に投じた波紋・登場人物ほぼ全員70歳以上の複雑な愛憎関係を、辛辣なユーモアで描いたイギリス小説の傑作。 - 本書の紹介文より

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読書会に参加してみたいけれど…読みたい本が課題本にならない場合の対処法

本記事は「読書会に参加してみたい!…けれど、なかなか読みたい本が課題本にならないよ。だからなかなか参加するチャンスがないよ…」という場合に、こんな工夫をすることで参加したいと思う読書会が増えるのではないか、ということを書いた記事です。

 

読書会のやり方には大きく分けて二つのタイプがあります。1つは紹介型読書会。これは参加者同士で本を紹介しあう集まりです。2つ目が課題本型の読書会。指定された本(課題本)を読み終えた人が集まり、その本について語り合う会です。今回は課題本型読書会についてのお話。

課題本型読書会の長所は大別すると①読んだ本について語り合うことができる②普段なかなか読まない本を読む機会を作れる…という点であると思います。 詳しくは下記の以前書いた記事に譲りますが、他者と語り合うこと・普段の自分では読まない本を読むこと、これが肝となって新たな発見を得ること・新たな世界を知ることにつながるのが課題本型読書会の醍醐味であると思います。

 とはいえ、課題本型読書会にも少し課題があってその一つが「読みたい本・他の人の感想を聞きたいと思う本」が課題本になるかどうか、というもの。

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『読書は孤独な行為』なのか 書評で、読書会で、立体的に本を読むということ。そして文化を豊穣させるということ。

先日の正月休み中の出来事。

本屋でこんな本を手に取った。 

本の本 (ちくま文庫)

本の本 (ちくま文庫)

 

この日は「読書論」の棚を見ていた。

「読書論」の棚は読書について書かれた本が集められたエリア。読書法の本や書物の歴史を辿った本もあれば自宅に書庫を建設した人の回顧本とか作家について論じられた本なども置かれている。そんなエリアのチェック中に見つけた本だ。

こちらは文芸評論家の斎藤美奈子さんの過去の書評をまとめた書評集。

文庫本としては大ボリュームのサイズでなかなか存在感がある本だった*1。このボリュームも目を引いたが、何より気にかかったのはこの膨大な量の仕事を改めてまとめた著者と編集者はさぞかし大変だっただろうなあ…ということ。作り手側のどんな後日談が載っているのかが少し気になったのであとがきを見てみることにしたのだ。

すると書評についてこんなことが書かれていたのだ。ざっくり要約すると

*1:書評集という仕事はもちろん様々な方が出していて何も斎藤さんのものだけが突出して量があるというわけではない(少なくともその日その棚を見た印象では)。手に取ったのは斎藤さんって方の名前は聞いたことがあるけれど仕事ぶりはよく知らないなあ…と思ったこともあったのだと思う。

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読書会とは実際どんな場所なのか 読書会に1年以上通ったので語ってみる ~猫町倶楽部の現場から~

みなさんは読書会という場をご存知でしょうか?
読書会とは何か。この事象を一言で表すのは難しいのですが、定義めいた言葉で書くなら「本を起点に何らかの活動を行う人の集まり」…ということになります。

本記事では読書会の実体験とその魅力についてなるべく沢山のことを書いていこうと思います。
というのも、読書会という場は未体験の方にとっては謎だらけのものだと思うからです。
何をやるのか。どんな人が来ているのか。運営しているの誰なのか。そもそも安全なのか。何が面白いのか…等々。
読書会に興味を持った方・参加を検討している方にとって少しでも参考になるものを差し出せれば幸いです。

本記事では猫町倶楽部という読書会での体験を元に読書会について書いていきます。


(猫町倶楽部についての詳細は後述しますがひとまず簡単に紹介)
[猫町倶楽部とは…。参加者の規模が日本最大級といわれている読書会。2006年発足。主要開催地は名古屋・東京・大阪・福岡(金沢でも時折開催)。]

・公式サイト

nekomachi-club.com


猫町倶楽部については会の代表が執筆した下記の本に詳しいことが書かれています

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

 

 


なお、一点だけ注意事項を…。
読書会には様々なやり方が存在しますし、またどう運営するかによってその会の特徴にかなりの違いが出てくるはずです。ですのでここで書くことはあらゆる読書会にとって普遍的な話もあれば、そうでないことが当然それぞれあります。そのことを少し頭に残しながらお読みいただければと思います。

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