okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

読書会とは実際どんな場所なのか 読書会に1年以上通ったので語ってみる ~猫町倶楽部の現場から~

みなさんは読書会という場をご存知でしょうか?
読書会とは何か。この事象を一言で表すのは難しいのですが、定義めいた言葉で書くなら「本を起点に何らかの活動を行う人の集まり」…ということになります。

本記事では読書会の実体験とその魅力についてなるべく沢山のことを書いていこうと思います。
というのも、読書会という場は未体験の方にとっては謎だらけのものだと思うからです。
何をやるのか。どんな人が来ているのか。運営しているの誰なのか。そもそも安全なのか。何が面白いのか…等々。
読書会に興味を持った方・参加を検討している方にとって少しでも参考になるものを差し出せれば幸いです。

本記事では猫町倶楽部という読書会での体験を元に読書会について書いていきます。


(猫町倶楽部についての詳細は後述しますがひとまず簡単に紹介)
[猫町倶楽部とは…。参加者の規模が日本最大級といわれている読書会。2006年発足。主要開催地は名古屋・東京・大阪・福岡(金沢でも時折開催)。]

・公式サイト

nekomachi-club.com


猫町倶楽部については会の代表が執筆した下記の本に詳しいことが書かれています

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

 

 


なお、一点だけ注意事項を…。
読書会には様々なやり方が存在しますし、またどう運営するかによってその会の特徴にかなりの違いが出てくるはずです。ですのでここで書くことはあらゆる読書会にとって普遍的な話もあれば、そうでないことが当然それぞれあります。そのことを少し頭に残しながらお読みいただければと思います。

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サッカー界のサステイナブル事例【ヴィーガン食のチーム・ユニフォームのアップサイクル】

以下の元記事は猫町倶楽部の『Weの市民革命』(著:佐久間裕美子)の読書会関連ネタとして猫町ラウンジ内に投稿したブログより。元のものより少しだけ加筆しています。

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『Weの市民革命』関連ネタとして、サッカー界のサステイナブルな取り組み事例を紹介。

ネタ元は不定期刊行のサッカー雑誌『SHUKYU』の9号より。LIFE特集という事でサステイナブルに関する話も紹介されています。

shukyumagazine.com

ミュリエル・スパーク『死を忘れるな』読書会の覚え書き

ミュリエル・スパーク『死を忘れるな』の読書会に参加したのでその覚え書きを。読書会で話された事よりは、読書会に出て私自身があれこれ考えたこと中心につらつらと書きます。※①若干のネタバレを含みます ※②個々の発言部分は記憶に頼って書いています。その点は十分留意してお読みください。

読んでいて非常に楽しく、なおかつ色々な事を考えさせられる作品です。

死を忘れるな (白水Uブックス)

死を忘れるな (白水Uブックス)

 

「死ぬ運命を忘れるな」と電話の声は言った。デイム・レティ(79歳)を悩ます正体不明の怪電話は、やがて彼女の知人たちにも広がっていく。ある者は疑心暗鬼にかられて犯人探しに躍起となり、ある者は悠然と受け流し、ある者は彼らの反応を記録して老年研究の材料とした。謎の電話が老人たちの生活に投じた波紋・登場人物ほぼ全員70歳以上の複雑な愛憎関係を、辛辣なユーモアで描いたイギリス小説の傑作。 - 本書の紹介文より

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皇后と読書 美智子『橋をかける 子供時代の読書の思い出』

美智子上皇后は本を愛する方である…と聞いてどれほどの人が「そうそう知っているよ~」と頷けるでしょうか。少なくとも私はつい最近までなら「ああそうらしいね(詳しいことは知らないけど…)」と答えていたと思います。

「そうらしいね」を「そうそう知っているよ」に変えたのが『橋をかける 子供時代の読書の思い出』です。本書には美智子上皇后が1998年のIBBY(国際児童図書評議会)ニューデリー大会の基調講演(ビデオ)で「子供の本を通しての平和」をテーマにお話しされた原稿が収録されています。

橋をかける (文春文庫)

橋をかける (文春文庫)

  • 作者:美智子
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫
 
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今だからこそ日本のサッカーファンは読んでみよう 『ぼくのプレミア・ライフ』ニック・ホーンビィ

サッカーについての本、というと大別すると以下のような本が大半を占めているのではないだろうか。

①選手・監督・チームに焦点を当てた本(自伝など)

②戦術解説本

③サッカー実用書…テクニックやコーチングなどを学ぶ本

④社会派…サッカー界の特定のトピック・事件を扱った本

何らかの統計を参照したわけではないが、本屋に並ぶサッカー本のほとんどは上に属するものだと思っている。

4番目の社会派、というのが少々イメージしづらいかもしれない。私の中でイメージしているのはこんな本になる。(『オシムの言葉』の著者で知られている)木村元彦さんが書いた我那覇和樹のドーピング冤罪を追った『争うは本意ならねど』やタイトル獲得という栄光から一転資金繰りに窮してしまった大分トリニータとその”騒動”の中心にいた溝畑宏を追った『爆走社長の天国と地獄』(3年前に感想を書きました)、東ヨーロッパのサッカー界事情をルポした長束恭行さんの『東欧サッカークロニクル』、日本各地のJリーグ”未満”の下部リーグチームを取材した宇都宮徹壱さんの『サッカーおくのほそ道』…。

 こうしてみると、実に多種多様なサッカーについて書かれた本があるように思えるが、サポーターについて書かれた本となるとそれほど多くはない。しかもサポーター自身が自分達とサッカーについて深く立ち入って書いた本となると日本で目にする機会はあまりないのではないだろうか。

 『ぼくのプレミア・ライフ』(原題:FEVER PITCH)はサポーター自身によって書かれたサポーターとフットボール文化を考察した本である。 

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本好きに響く物語…『チェスの話 ツヴァイク短篇選』

先日こちらの本を読了しました。 

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)

 

 ウィーン出身の作家シュテファン・ツヴァイク(1881-1942)の短篇選です。

何かに偏愛を傾けることができる人、あるいはそんな人を好む気持ちが心のどこかにある人、そのような方々を特に引き付ける物語が収録されています。特に読書家・コレクターを自負する方であればまず『目に見えないコレクション』『書痴メンデル』の二編を是非読んでみてください。

海外の(それも日本では有名とは言えない)文学作品、と聞くだけで読むのに苦労や覚悟を要するものと思う方がいらっしゃるかもしれません。本書に収められている作品には小難しさはありません。しかし一方で軽薄さとも程遠い作品達なのです。作品の事もツヴァイクという名を目にしたことがない方も是非一読してみることをお勧めします(私がまさにそうでした)。上記で触れた二作は物語の結び方がとても好み。表題作の『チェスの話』はもし本書で読書会を行ったら特に他の方の感想を聞きながらじっくり考えてみたい作品です。

 

ツヴァイクの名前を知らなかった私が本書を読むきっかけとなったのは、昨年末の猫町倶楽部のクリスマスパーティー(読書会)でのこと。こちらの本・DVDのプレゼント交換の際に頂いたことがきっかけで読む機会を得ました。こういったことがなければおそらく手に取ることはなかった作品でしょう。世の中には一人の人間にとっては無数ともいえる本があり、他者の力を借りなければ書名を見ることすらない本がどれだけあるのか…ということをつくづく実感させられます。本を案内するという営みは今までもこれからも優れて文化的な行為なのだと思います。

 

 

このシリーズの存在も本書で初めて知りました。

読書会に参加してみたいけれど…読みたい本が課題本にならない場合の対処法

本記事は「読書会に参加してみたい!…けれど、なかなか読みたい本が課題本にならないよ。だからなかなか参加するチャンスがないよ…」という場合に、こんな工夫をすることで参加したいと思う読書会が増えるのではないか、ということを書いた記事です。

 

読書会のやり方には大きく分けて二つのタイプがあります。1つは紹介型読書会。これは参加者同士で本を紹介しあう集まりです。2つ目が課題本型の読書会。指定された本(課題本)を読み終えた人が集まり、その本について語り合う会です。今回は課題本型読書会についてのお話。

課題本型読書会の長所は大別すると①読んだ本について語り合うことができる②普段なかなか読まない本を読む機会を作れる…という点であると思います。 詳しくは下記の以前書いた記事に譲りますが、他者と語り合うこと・普段の自分では読まない本を読むこと、これが肝となって新たな発見を得ること・新たな世界を知ることにつながるのが課題本型読書会の醍醐味であると思います。

 とはいえ、課題本型読書会にも少し課題があってその一つが「読みたい本・他の人の感想を聞きたいと思う本」が課題本になるかどうか、というもの。

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「僕たちの知っているサッカーって大分限定的だったんだね」ヨコハマ・フットボール映画祭2020参加レポ

去る1月26日。ヨコハマ・フットボール映画祭2020に行ってきました。初めての参加だったですが予想以上に楽しく刺激に満ちた場所だったので、このイベントの様子と感想を書き残したいと思います。

そもそもこのイベントは何?という方はサッカーファンの方でも多いと思うのですが、これはサッカーの映画祭&文化祭なのです。

サッカーと映画、というとあまりピンと来ない方がほとんどだと思います。日本ではあまり触れる機会はありませんが、世界では沢山のサッカー映画が製作されているそうなのです。そんな世界のサッカー映画を紹介するのがこの「ヨコハマ・フットボール映画祭」。今年で10回目の開催とのこと。

この映画祭ではフットボール文化祭と題したブースもあります。こちらはサッカーにまつわる様々なものが展示されていて、私たちの知らないサッカーの世界・サッカーの切り口がこんなに存在するのか…ということを知ることができる場所です。まさに文化祭という言葉がぴたりと当てはまる空間でした。

 

それでは当日の様子と感想を。

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