okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

本好きに響く物語…『チェスの話 ツヴァイク短篇選』

先日こちらの本を読了しました。 

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)

 

 ウィーン出身の作家シュテファン・ツヴァイク(1881-1942)の短篇選です。

何かに偏愛を傾けることができる人、あるいはそんな人を好む気持ちが心のどこかにある人、そのような方々を特に引き付ける物語が収録されています。特に読書家・コレクターを自負する方であればまず『目に見えないコレクション』『書痴メンデル』の二編を是非読んでみてください。

海外の(それも日本では有名とは言えない)文学作品、と聞くだけで読むのに苦労や覚悟を要するものと思う方がいらっしゃるかもしれません。本書に収められている作品には小難しさはありません。しかし一方で軽薄さとも程遠い作品達なのです。作品の事もツヴァイクという名を目にしたことがない方も是非一読してみることをお勧めします(私がまさにそうでした)。上記で触れた二作は物語の結び方がとても好み。表題作の『チェスの話』はもし本書で読書会を行ったら特に他の方の感想を聞きながらじっくり考えてみたい作品です。

 

ツヴァイクの名前を知らなかった私が本書を読むきっかけとなったのは、昨年末の猫町倶楽部のクリスマスパーティー(読書会)でのこと。こちらの本・DVDのプレゼント交換の際に頂いたことがきっかけで読む機会を得ました。こういったことがなければおそらく手に取ることはなかった作品でしょう。世の中には一人の人間にとっては無数ともいえる本があり、他者の力を借りなければ書名を見ることすらない本がどれだけあるのか…ということをつくづく実感させられます。本を案内するという営みは今までもこれからも優れて文化的な行為なのだと思います。

 

 

このシリーズの存在も本書で初めて知りました。