okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

サッカー界のサステイナブル事例【ヴィーガン食のチーム・ユニフォームのアップサイクル】

以下の元記事は猫町倶楽部の『Weの市民革命』(著:佐久間裕美子)の読書会関連ネタとして猫町ラウンジ内に投稿したブログより。元のものより少しだけ加筆しています。

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『Weの市民革命』関連ネタとして、サッカー界のサステイナブルな取り組み事例を紹介。

ネタ元は不定期刊行のサッカー雑誌『SHUKYU』の9号より。LIFE特集という事でサステイナブルに関する話も紹介されています。

shukyumagazine.com

 

■選手もヴィーガン食オンリー!?「世界一エコ」なサッカークラブ『フォレスト・グリーン・ロバーズ』

ざっくりポイント

・選手に提供する食事も、スタジアムで売る食事も『ヴィーガン食』にしている。

・建設予定のスタジアムは全て木材で作る設計(設計:ザハ・ハディド事務所)。

フォレスト・グリーン・ロバーズはイングランドのサッカークラブ。リーグ2(4部相当)所属。

経営危機をきっかけに2010年にオーナーが代わり、「グリーンなフットボールクラブを作る」方向にシフト。代わったオーナーのデイル・ヴィンスはグリーンエネルギーの事業を行っているエコトリシティの経営者。ちなみにその他のスポンサーもいわゆるプログレッシブ系の企業で占められているとのこと。


目玉の取り組みは?というと、上に挙げた通り選手・ファンに出す食事がヴィーガン食オンリーである事。

SHUKYU誌上に掲載されているオーナーへのインタビューによると、選手の方がこの変化をすんなり受け入れたとのこと。なぜかというと、選手はパフォーマンス向上・怪我防止への取り組みという観点から受け入れている為。ヴィーガンとはいわずとも、パフォーマンスの観点から肉を控えるアスリートは結構いるらしいので、受け入れやすい土壌はあったんでしょうね。


逆に最も反発があったのはファン・サポーター。要はスタジアムで肉食って酒飲んで※騒ぎてえ!という人々からは反発が強かったわけです(想像できる…)。

ただこの方針を貫いて10年間取り組んだ結果、食べ物の売り上げは5倍。観客数は4倍、という数字に。

※ビールもヴィーガン対応のものを売っているらしい

 

もう一つ話題になることの多い取り組みは新スタジアム計画。材料は全て木材のスタジアムで世界一二酸化炭素排出量が少ないスタジアムとなるそうです。このブログのメイン画像はその新スタジアムの完成イメージ図。

設計はザハ・ハディド事務所。個別にアポを取ったわけではなく、スタジアム設計のコンペを行ったらまさかの参加だったとのこと。

 

その他に「それもか!」と思った取り組みはオーガニック志向のピッチ。有機飼料やピッチの散水に雨水を使うといったことを行っているそうです。


オーナーの言葉でもっともだなと思ったのは以下のこと。

「これは経験から学んだことですが、何か既存のもののグリーンなバージョンを作るときには、少なくとも今使われているのと同じ、もしくはより高いクオリティのものでなくてはなりません。」

「それはグリーンなフットボールクラブを目指す場合でも同じです。私たちがとてもグリーンであったとしても、クラブがガラクタのようでは、うまくいきません。だから私たちは競技面での成功にもフォーカスしています。」

 

現在このチームは4部相当のリーグに所属していますが、4部に昇格したのは3シーズン前の事で、これはクラブ史上初の事。ピッチ上でも成果は徐々に出しているようです。

 

フォレスト・グリーン・ロバーズ公式サイト

www.fgr.co.uk
・Webで読める紹介記事

・現スタジアムなどの画像

・新スタジアム画像

 

ちなみにSHUKYUでオーナーへのインタビューを行っているのは元WIRED日本版編集長の若林恵さん。佐久間裕美子さんと共著を出したりポッドキャストをやっていたりする方ですね。

 

■ユニフォームのアップサイクル

サッカー界では毎シーズン沢山のユニフォームが作られています(グッズビジネスの為に)。毎シーズンごとにユニフォームを買う人であれば過去のユニフォームがタンスの中に眠ったまま…という事も多々あるはず。

 

そんな古いユニフォーム達をカバンやマスクに生まれ変わせているのがスペインを拠点に活動する『equipo.』というチームの取り組み。ウェブショップもあるようなので、実際どんな商品が作られているのかはこちらから見れます。

tienda.equipofc.com

アップサイクルという点を打ち出しているわけではないのですが、SHUKYU8号で紹介されていた『Blood In Blood Out』というアートプロジェクトもユニフォームのアップサイクルという点では参考になるかも。

(インスタグラムより)

これは複数のユニフォームから一つのユニフォームを製作する取り組み。

その人が強い思いを持っている地域・国のチームのユニフォームを組み合わせることで、その人自身のアイデンティティを表現できる…という意図で始まった取り組みだそうです。でもこれもユニフォームのアップサイクルではないかな?と思いました。

不要になったユニフォームを皆で持ち合わせて、自分のオリジナルユニフォームを作る材料を集める。みたいなこともできるんじゃないかな。

 

・『Blood In Blood Out』のサイト&インスタ

www.bloodinbloodout.nl

https://www.instagram.com/bloodin_blood0ut/

 

■では日本は?
Jリーグの各クラブでも地域貢献という観点から、環境関連の活動は様々行われています。

・事例概要紹介ページ

Jリーグとして行っている取り組みだと、不要になったユニフォームを集めて東南アジア等に送る活動(2020年はコロナ影響で中止?)などがありました。

とはいえ、自分もこの手の事例に詳しいわけではないので知らないだけかもしれませんが、「これは是非紹介したい!」という強いインパクトのある活動とかは日本サッカー界だと特に思い浮かばないですね…。

 

 

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「サッカー界ってサステイナブルですか?」そうとはいえない面も多々あるのかなあと思います。

 

サッカーと消費者アクティビズム、という事に関して言えば…やはりどのクラブ・チームを応援するかという事が最も影響を与える行為なんじゃないでしょうか。

どのサッカークラブ・サッカーチームを応援するかって、基本的には地域要素がフックになる事が圧倒的に多い(地元・近所だから等)と思うんですけど、理念・活動方針に共感して応援という事も全くないわけではないんですよね。上で紹介したフォレスト・グリーン・ロバーズ以外だと、ドイツ2部のザンクトパウリとかも理念支持で国内外にファンが沢山いたりする有名事例だったりします。


そのうち理念と理念がぶつかり合うチーム同士のダービーマッチが沢山勃発する日も来るんでしょうか。とはいえ中々それは歓迎しがたい事態になるような気もします。地域とか階級別のダービーマッチとはまた違う、別種の遺恨を残しそうな予感も…。もう少しこの事については継続的に考えていきたいですね。
積読になっているこの本とか、この事を考える参考になるかなあ。

www.hanmoto.com