読書会に参加してみたいけれど…読みたい本が課題本にならない場合の対処法
本記事は「読書会に参加してみたい!…けれど、なかなか読みたい本が課題本にならないよ。だからなかなか参加するチャンスがないよ…」という場合に、こんな工夫をすることで参加したいと思う読書会が増えるのではないか、ということを書いた記事です。
読書会のやり方には大きく分けて二つのタイプがあります。1つは紹介型読書会。これは参加者同士で本を紹介しあう集まりです。2つ目が課題本型の読書会。指定された本(課題本)を読み終えた人が集まり、その本について語り合う会です。今回は課題本型読書会についてのお話。
課題本型読書会の長所は大別すると①読んだ本について語り合うことができる②普段なかなか読まない本を読む機会を作れる…という点であると思います。 詳しくは下記の以前書いた記事に譲りますが、他者と語り合うこと・普段の自分では読まない本を読むこと、これが肝となって新たな発見を得ること・新たな世界を知ることにつながるのが課題本型読書会の醍醐味であると思います。
とはいえ、課題本型読書会にも少し課題があってその一つが「読みたい本・他の人の感想を聞きたいと思う本」が課題本になるかどうか、というもの。
読書会に参加してみたい!と思っても、自分が読みたいと思った本が課題本になることはそれほど多くはないはずです。また折角そのような読書会を見つけられても、足を運べる場所・日程であるかどうか…という制約もあります。こうしたことによって、読書会に興味はあるもののなかなか参加できるタイミングがやってこない…と思っている方は少なからずいらっしゃるのではないかと思っています。
実際私がよく足を運ぶ猫町倶楽部で初参加の方にお話を聞くと、「会自体はずっと前から知っていたが読みたいor読めそうと思う本がなかなか無かった」という話を時折聞くことがあります。
私自身の実体験を振り返ると、それほど強い興味を抱かなかった本であっても読んで参加してみると読書会そのものは楽しく過ごせることは多々あります。読んでみたら意外と面白い本だった!ということはもちろんのこと、読んでもはっきり言ってこれはよく分からなかった…と思う本でも読書会で他の方のお話を聞くうちに本の新たな一面を知り刺激を受けることもあるのです。ですから読みたくないという拒否感情をあまりにも覚えるようなものを除けば、普段手に取らないようなタイプの本であっても読んで読書会に参加してみることをお勧めします。
…とはいえ読書のモチベーションを上げる要素が多いことには越したことはありません。読むことの意義を疑っている本・読む前から心が躍らない本よりも、少しでもそうではない本のほうが読書のモチベーションが上がり、読書会参加への障壁は低くなるでしょう。
以下二つの観点から課題本を読むモチベーションを上げる方法を列挙してみます(特にに読書会初心者の方向けに)。
1.会の選書眼を信じる
一言で言うなら「ここの読書会が選んだ本なのだから、それほどつまらない本ではないだろう」と思うことで本に価値を見出す、という方法。これは主に以下の一つまたは両方の特徴を持つ会であれば使える方法です。
①どのような本を課題本とするか明言している会である
②選書者が「この方が選んだ本なら是非読んでみたい」と思わせる人物である
①の場合は…例えば古今東西の古典文学から選書するとか、芥川賞・直木賞を受賞した作家の作品から選書するとか、そういった何らかの方針を明言している会が該当します。この選書方針に魅力を感じた会が選んだ本であれば、あまり知らない本・普段は一見惹かれない本であってもその本が価値のあるものに見えてくるかもしれません。
②は知人・友人や、著名人・研究者・批評家…等その人が選んだ本ということ自体がその本に読みたいと思う価値を与えるケースです。中々該当するケースは多くないかもしれませんが、読もうと思わせる力は大きなはずです。
2.積読・気になる本…etc との抱き合わせで課題本を読む
私がたまに行うのがこの方法。気になる本・読みたいと思っていた本と課題本を結び付けて両方読んでしまおう、という試みです。
あまり興味を持たない本でも、その本と関連するテーマには興味持つということはあるはずです。関連してそうだな…と思った本の中に積読本や以前から気になっていた本があれば、その本を読むチャンスだと考えて読んでみる。読み終わったら課題本を読んでみる(もちろん逆の順序でもOK)。
こうすることで何が起こるでしょうか。
まず真っ先に思い浮かぶのは自分が興味を持った本(=関連本)と課題本の双方の多面的理解につながるということです。詳しくない分野の本であればあるほどその本の特徴はその本とだけ向き合うだけでは中々見えづらいものです。自分なりに思いついた関連本を読むだけでも理解の仕方は少なからず変わるのではないでしょうか。仮に関連本と思っていたが全く違った…ということが起きたとしても、その経験自体が2つの本を読まなければ気づけなかった発見でしょう。それはそれでとても大事な学びではないでしょうか。
そして読書会に参加してみることで、2冊読んで随分分かった気になったor全然分からなかった世界に新たな気づきを見つけることができるかもしれません。
以下は私の実践例。
例えばこの女性問題がテーマである本が課題本なら…
大まかなテーマは近くて尚且つ時間・場所が違うところから論じられた本を読むと互いの本の特徴が浮かび上がるのでは?と考えて『平塚らいてう評論集』を読んでみたり(以前から戦前の言説が覗けて面白いのでは?と気になっていた本でした)。
続いてこの本が課題本になった場合。私は動物性愛にはそこまで興味はありませんでしたが…
動物倫理&倫理学なら興味がある!ということで、読了したいと思いつつ中々取り掛かれなかった積読本も読んで読書会に行くことにしました。
課題本を読むモチベーションを上げる方法は他にもあります。それは居心地の良い読書会を見つける事とその中で友達や気の合う人を見つける事。誰かと会いたいとか一緒に語りたいという気持ちは読書を助ける強い動機になるはずです。…とはいえそれは読書会に参加する、という壁を越えた先にあるものなので本記事では詳述しません。
本を読む動機というのは様々な形で作れます。読書会もその一つ。読書会の課題本を読むモチベーションを上げるための工夫を紹介しましたが、読書会に参加したいと少しでも思ったならまずは食う前からあまり食わず嫌いせず、ひとまず課題本を読み進めてみることをお勧めします。 その先に今までとは違う読書体験がある…かもしれません。