okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

文章の読解力…ではなく鑑賞のことを考えてみる。三島由紀夫『文章読本』

「文章の読解力」というテーマは話題に挙がりやすい言葉だと思います。少なくとも「文章の鑑賞」というテーマに比べると。

みなさんは文章を鑑賞する、ということについてどのようにお考えでしょうか。

文章の鑑賞とは個人的な趣味の問題である、という態度が最も広く定着しているものであると思います。この態度を形作るのは以下のような考えでしょう。第一に鑑賞とは個人の感性に立脚して行われるものという考え。第二に鑑賞とは個人の感性・信条に委ねて自由に行うものであり、他人からものの見方を強制されるべきではないという考え。

これが文章の読解ということであれば様相は随分と異なってくるでしょう。文章の読解とは感性の違いや特別な才能の有無とは関係なしに発揮できる技能であり、訓練によって誰もが文章の意味を正確に理解する力を養える…という考え方。日々の生活の中で文章を読む必要のある機会は沢山あるのだから、できる限り読解力を高め正確に文章を理解できるようになるのが望ましいという考え方。こういった考えが読解力をどのように養うべきかといった話や読解力を身につけなければいけないという話につながり、何かと話題に挙がりやすいものとなっているのだと思います。

 

文章を鑑賞すること。これは他人から口を出される事柄ではなく、深く考えなさいと何かに要請されるようなものでもありません。ですので文書を鑑賞するということについてあまり考える機会はないという方は私を含め沢山いらっしゃると思います。

ですが、鑑賞について考えるのもたまには面白いものだと思います。

文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

 
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『読書は孤独な行為』なのか 書評で、読書会で、立体的に本を読むということ。そして文化を豊穣させるということ。

先日の正月休み中の出来事。

本屋でこんな本を手に取った。 

本の本 (ちくま文庫)

本の本 (ちくま文庫)

 

この日は「読書論」の棚を見ていた。

「読書論」の棚は読書について書かれた本が集められたエリア。読書法の本や書物の歴史を辿った本もあれば自宅に書庫を建設した人の回顧本とか作家について論じられた本なども置かれている。そんなエリアのチェック中に見つけた本だ。

こちらは文芸評論家の斎藤美奈子さんの過去の書評をまとめた書評集。

文庫本としては大ボリュームのサイズでなかなか存在感がある本だった*1。このボリュームも目を引いたが、何より気にかかったのはこの膨大な量の仕事を改めてまとめた著者と編集者はさぞかし大変だっただろうなあ…ということ。作り手側のどんな後日談が載っているのかが少し気になったのであとがきを見てみることにしたのだ。

すると書評についてこんなことが書かれていたのだ。ざっくり要約すると

*1:書評集という仕事はもちろん様々な方が出していて何も斎藤さんのものだけが突出して量があるというわけではない(少なくともその日その棚を見た印象では)。手に取ったのは斎藤さんって方の名前は聞いたことがあるけれど仕事ぶりはよく知らないなあ…と思ったこともあったのだと思う。

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読書会とは実際どんな場所なのか 読書会に1年以上通ったので語ってみる ~猫町倶楽部の現場から~

みなさんは読書会という場をご存知でしょうか?
読書会とは何か。この事象を一言で表すのは難しいのですが、定義めいた言葉で書くなら「本を起点に何らかの活動を行う人の集まり」…ということになります。

本記事では読書会の実体験とその魅力についてなるべく沢山のことを書いていこうと思います。
というのも、読書会という場は未体験の方にとっては謎だらけのものだと思うからです。
何をやるのか。どんな人が来ているのか。運営しているの誰なのか。そもそも安全なのか。何が面白いのか…等々。
読書会に興味を持った方・参加を検討している方にとって少しでも参考になるものを差し出せれば幸いです。

本記事では猫町倶楽部という読書会での体験を元に読書会について書いていきます。


(猫町倶楽部についての詳細は後述しますがひとまず簡単に紹介)
[猫町倶楽部とは…。参加者の規模が日本最大級といわれている読書会。2006年発足。主要開催地は名古屋・東京・大阪・福岡(金沢でも時折開催)。]

・公式サイト

nekomachi-club.com


猫町倶楽部については会の代表が執筆した下記の本に詳しいことが書かれています

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

 

 


なお、一点だけ注意事項を…。
読書会には様々なやり方が存在しますし、またどう運営するかによってその会の特徴にかなりの違いが出てくるはずです。ですのでここで書くことはあらゆる読書会にとって普遍的な話もあれば、そうでないことが当然それぞれあります。そのことを少し頭に残しながらお読みいただければと思います。

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【本の感想】『爆走社長の天国と地獄』はあなたにプロサッカークラブの存在意義を問う

有名選手や人気チームを取り上げたよくあるスポーツジャンルの本ではない。そこに登場するアスリートもチームも決して世間に広く知られ、多くの注目を集める(集めていた)存在ではない。だがこの大分トリニータというJクラブと溝畑宏という人物が歩んできた道のりについて書かれたこの本には、Jリーグもサッカーもスポーツにも興味のない人々も思わず引き込まれてしまう魅力があるのではないかと思う。そんな風に思うほど一気に読み終えてしまうほどのおもしろさを感じ、多くのことを考えさせられる本だった。

書名は「 爆走社長の天国と地獄 :大分トリニータv.s.溝畑宏

 

 

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2016年と2017年のアルディージャのスポンサー比較と雑感

先日(2/1)2017シーズンの大宮アルディージャのパートナー(大宮ではスポンサーのことを正式にはパートナーと表記)が発表されました。(全てのパートナー一覧はこちら

もちろんこれから追加で発表される可能性はありますし、シーズンスタート後にスポンサーさんが新たに加わることも当然あるのですが、この時点で今シーズンのスポンサーさんの陣容はほぼ固まっていると思うので、2016シーズンの状況と比較してみたいと思います。2016シーズンのデータはこちらのリリースと、クラブオフィシャル誌であるVAMOS(VOL109 2017年1月号)に掲載されているパートナー一覧のページを参考にしています。

 

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