okku's diary

Jリーグ・大宮アルディージャ・読書・読書会について書くブログ

札幌国際芸術祭2014の話

そのうち忘れそうなので書いておく

 

今年の8月札幌に行ったときに札幌国際芸術祭2014というイベントがやっていたのでいくつかの会場を覗いてみた。

やっていたので、と書いたのは別にこのイベントのために札幌に行ったわけではないからだ。札幌には母の実家があり毎年夏には避暑も兼ねて一週間程度滞在している。なので何か積極的な動機に動かされて札幌に行ったということは今まで一度もないと思うし今回もそうだった。

 

この芸術祭の存在を知ったのは確か北海道に着いたその日に見た駅のポスターだったと思う。

駅に貼ってあった札幌国際芸術祭の宣伝ポスターを見て僕はそれなりに興味を持った。

自分は普段から美術館などに行くことはなく芸術や美術に特段の関心を持っているわけでもないがおそらくイベントの名前からして札幌周辺で行われている催しだろうから割と容易に行けそうだなと思ったことと、色々な事情がありこれからしばらく札幌には来ることはないだろうなという状況だったためいつもよりも札幌だけで行われることに関心が高まっていた・・・というのが興味を持った主な理由なのではないかなと思う。

あとそのポスターに書いてあった「アートディレクター 坂本龍一」の文字を見て「あっそういや前に坂本龍一が言ってたのはこれだったのかな・・・?」と思ったりもした、ちょっと前に坂本龍一が癌のため仕事を休止するという話があったときに坂本龍一が自身のサイトかツイッターに札幌国際芸術祭がどうのこうの・・・って書いてたなーということを思い出したのだ。

 

 

着いてから数日ほどは天気に恵まれずあまり動けなかったり天気が回復した後は家族で大通りの方に行って買い物や食事などをしているうちに何日か経った。

その日8月23日は特に予定もない日だったので「暇だし芸術祭とやらに行ってみるか」という気になった。

札幌国際芸術祭2014は美術館・公園・街中・その他色々な場所で行われていた。

http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/access

僕が行ってみたかったのは札幌芸術の森美術館だったのだがその日は思い立つタイミングが遅すぎた。これから芸術の森まで行くと母や祖母に伝えたところ「この時間から行ったんじゃすぐ閉館時間になっちゃってあんまり見られないんじゃない?」といった感じのことを言われた。

それを聞いて僕は素直に「あっしまった・・・」 と思った、なんとこいつ本当に閉館時間のことを考えていなかったのである(なんというまぬけさ)。

そこで予定を変更し芸術の森よりもすぐ行ける北海道立近代美術館に行くことにした、ここなら閉館時間までそこそこ余裕を持って見ることができる。

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札幌の大通のあたりにあった催し、北海道の町や村の名産品などが出品されていた

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 これが北海道立近代美術館

行ってみたら他に徳川のなんとか展とかいうのもやっていた。

チケット売り場では芸術祭の中では入場有料の会場であるここと芸術の森美術館に入れるセットチケットが売られており一般料金よりちょっと安い大学生料金も設定されていたのでそれを購入、持ってきてよかった学生証。

入ってみて驚いたのが撮影がOKの作品が結構あることだった、撮影禁止の札さえなければどんどん撮っても問題ない(ある作品の前ではスタッフがいい撮影ポイントを来館者に教えている場面を見かけた)。なんとなく美術館=撮影禁止というイメージがあったのだが最近は撮影してもいい作品というのは珍しくないだろうか?それともこの芸術祭が特殊なのか。

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撮影OKだった作品の一つ

全体的に見ていて退屈しなかったが作品が製作された年を見ると作品から受けるイメージとはかなりギャップがあったことが印象に残っている。

なんとなく最近の作品っぽいなーと思っても近くの作品情報を見ると自分が生まれる何十年も前に製作された作品だった、ということが何度かあった。

単純に古さをまったく感じさせないのってすごいなーと思った。

見ていて意外だな、と思ったのは雪の結晶に関する展示があったことだ。

中谷宇吉郎という物理学者が研究の過程で撮った雪の結晶の写真や火花放電などの写真が展示されていたり雪の結晶を作る装置が展示されていたりした。

 

とても綺麗だった。

 

一時間か一時間半ほどして美術館を出るとそのまま帰宅しようかと思ったが帰る途中にもう一つ見れそうな会場があったのでそちらにも行ってみることにした。

 

そこは500m美術館と名付けられた会場で地下鉄大通駅の周辺に広がる地下空間を利用してつくられたところだった(今確認すると他の駅と結ぶ通路だったようだ)。

 

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端っこの場所、出口にも入り口にもあたる場所(順路はなかったはず)

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 こんな風に壁に展示している

この会場では今回特におもしろいな、と感じられた二つの作品に出合った。

一つは伊藤隆介さんのField Watcherという作品。

どんな作品か簡単に説明するとジオラマの中をカメラが首を回しながら上下に移動しそのカメラの映像をスクリーンに映して鑑賞する…というもの。

まあこんな文章だとさっぱり伝わらないと思うので写真と伊藤さんの過去作品を見れば大体どんなものなのか分かると思う。

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人が映り込んでいたので若干の加工処理をしました

 右にあるのがジオラマ(と呼べばいいのかな…)スクリーンの右側にカメラが撮った映像がリアルタイムで映写されている。

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銀の棒の先端についているのがカメラ、首を回しつつ奥に行ったり戻ったりする

 参考:伊藤さんが2011年に作成したThe Hole

初めにこの作品を見たときはスクリーンに広がる不思議な世界に「何だこりゃ?」と思い、それから一体スクリーンに映っているのはどういう世界なんだろう?どういう風にできてるんだろう?ということを考えていたのだがそのうち横のジオラマを映したものだと気がついた。

どうやって作られているのか分かった後もスクリーンの中の異空間が子供だましのちゃっちい仕掛けだなんて思えるはずもなく「おもしろいなあ」とか「こういう雰囲気の空間は好きだな」とか思いながらしばらく見ていたと思う。

ジオラマを間近で見てもこれをスクリーンに映すとあのような空間が現れるということがなかなか想像しがたくそのことに僕は驚かされた。

 

もう一ついいなと思った作品は宮永亮さんの WAVYという映像作品だった。

この作品はいくつもの映像を複雑に重ね合わせることによって作られている。

(こちらのページを見ればどんな手法で作られているか大体分かる)

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ここでヘッドホンを付けて鑑賞した

僕が通りかかった時には既に映像がスタートしており途中から見始めたのだが終盤の車が高速道路を走る映像がいくつも重ね合わさっていくシーンが気に入ったこともありもう一度初まるタイミングを待ち2回目の鑑賞も行った。

できればまだ何回も何回も見てみたいと思うのだがこうした作品というのは何かしらの形で公開したり販売する、ということはあるのだろうか?

先ほど貼った宮永さんのサイトを見るとvimeoで公開している過去の作品も多数あるようなのでいつか公開されることを期待したい…と思う。

 

 近代美術館で芸術の森とセットになっているチケットを購入したので後日サッカー観戦(コンサドーレ札幌)を予定していた日にはしごで芸術の森の方にも行ってみようかなとは思ったのだがそうすると一日のスケジュールが慌ただしくなるので少し悩み結局芸術の森の方には行かなかった(結果的に学生料金での購入もお得ではなくなってしまった…)。

 

全体的にそこそこ楽しめたイベントだったけれどいやしかしたまにはこうしたイベントにも足を運んでみるものだなと思った、まさか自分が気に入った・注目している芸術家なんてのを見つけることになるとは考えてなかったしね…(もちろん伊藤さんと宮永さんのことです)